2020年度改正(2022年春全面施行見込み)「個人情報保護法」において、後記の通り、新規に「第30条第5項及び第6項」が追加されました。
これって、PTAへの非入会意思を有する保護者にとっては、極論すれば、ドラえもんの「もしもボックス」と同じ効果を持つツールになり得ると思います。
なぜかというと、個人情報の利用停止請求において、これまで求められていた不適法取得・利用の証拠提示などが一切必要なく、ただ(同個人情報の利用の)「必要が無くなったから」と記載するだけで利用停止請求できるようになるからです。
つまり、PTAの強制入会などの不合理な扱い受けている保護者からすれば、(本意ではないにしても)次のような議論や論争を気にすることなく(というか、それらを飛び越えて)ただ「必要が無いから」個人情報の利用停止請求をすることが可能になります。
<極論として不要な議論>
・熊本PTA裁判におけるPTA入会有無
・PTA入会届のある/無し
・PTA個人情報提供承諾のある/無し
・学校経由の個人情報提供の適法性の有無
・PTA退会届のある/無し
※もちろん、現行の個人情報保護法、個人情報保護条例が適法に運用される必要は無いと言っているのではありません
上記の議論の経過・結果にかかわらず、前記の通り、個人情報の利用停止請求を行えば、PTAや学校は、利用停止をせざるを得ず、結果として、退会届の受理された/されないにかかわらず、PTAは対象となる個人情報の利用を停止する必要が発生し、PTAとして対象の保護者にPTA関連の強制をすることができなくなります。もし、速やかに利用停止しなかった場合には、個人情報保護法に定める罰則の対象となります。
正直、実は、PTA運営にとって、2017/5の個人情報取扱事業者となった個人情報保護法改正以上に、衝撃的な法改正かもしれません。
2020年度改正「個人情報保護法」<一部抜粋>
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(利用停止等)
第 30 条 本人は、個人情報取扱事業者に対し、当該本人が識別される保有個人データが第 16 条若しくは 16 条の2の規定に違反して取り扱われているとき、又は第 17 条の規定に違反して取得されたものであるときは、当該保有個人データの利用の停止又は消去(以下この条において「利用停止等」という。)を請求することができる。
2~4(略)
5 本人は、個人情報取扱事業者に対し、当該本人が識別される保有個人データを当該個人情報取扱事業者が利用する必要がなくなった場合、当該本人が識別される保有個人データに係る第 22 条の2第1項本文に規定する事態が生じた場合その他当該本人が識別される保有個人データの取扱いにより当該本人の権利又は正当な利益が害されるおそれがある場合には、当該保有個人データの利用停止等又は第三者への提供の停止を請求することができる。
6 個人情報取扱事業者は、前項の規定による請求を受けた場合であって、その請求に理由があることが判明したときは、本人の権利利益の侵害を防止するために必要な限度で、遅滞なく、当該保有個人データの利用停止等又は第三者への提供の停止を行わなければならない。ただし、当該保有個人データの利用停止等又は第三者への提供の停止に多額の費用を要する場合その他の利用停止等又は第三者への提供の停止を行うことが困難な場合であって、本人の権利利益を保護するため必要なこれに代わるべき措置をとるときは、この限りでない。
7(略)
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