学校(自治体)からの年度初めのお便りにおいて「各家庭の個人情報をPTAに提供しますので、不都合な場合には申し出て下さい」という不適切なスタイルが、なぜ横行しているのか?の話です。
2020年度改正「個人情報保護法」に「個人関連情報」の「同意取得義務」が盛り込まれることを再確認していて、今更ながらに疑問に思い確認してみたところ、次の点に改めて気付きました。
個人情報の第三者提供に対する「本人同意」にかかる文言が個人情報保護法および関連法令間で異なる(しかも、重要な文言が抜けてる)んですね。
<パターンA>
(第三者提供の制限)
<パターンB>
〇行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律(※次法に全面改正)
(利用及び提供の制限)
第〇条 □□□□の長は、法令に基づく場合を除き、利用目的以外の目的のために保有個人情報を自ら利用し、又は提供してはならない。
2 前項の規定にかかわらず、□□□□の長は、次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、利用目的以外の目的のために保有個人情報を自ら利用し、又は提供することができる。ただし、保有個人情報を利用目的以外の目的のために自ら利用し、又は提供することによって、本人又は第三者の権利利益を不当に侵害するおそれがあると認められるときは、この限りでない。
一 本人の同意があるとき、又は本人に提供するとき。
現行の自治体の個人情報保護条例は、パターンBを参考にして作れらているので、現行の個人情報保護条例において、「第三者提供」に対する「本人同意」について、「あらかじめの本人同意」が明記されていないんですね。
(←あんまり意図的な要因が感じられない。個人情報保護法が、より現代的な常識を持って作られたことによる違いだけ?)
学校(自治体)が、PTAに個人情報を提供する際に「PTAに提供しますので、不都合な場合には申し出て下さい」という形で、個別に本人同意を得ないスタイルが横行しているのは、こういう経緯なんですかね?
相模原市の個人情報保護制度の担当部署である情報公開課に上記の点を確認してみると、「個人情報保護条例の基本趣旨からは不適切な対応であるが、条例上グレーであり、アウトではない」という回答を2019年4月時点で得ました。
2021年の通常国会に提出される「個人情報保護、関連3法を統合する政府改正案」において、パターンBが個人情報保護法と平仄が合った文言になるか注視しなきゃいけないのかもしれません。